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エッセイ・エスプレッソ


第30話 直火式器具の手入れ


直火式器具

 アルミ製の直火式器具の手入れについて、イタリアの人は「決して洗剤で洗ってはいけない」と言います。これは理由云々のレベルを超えた信念になっているようですが、強いて理屈を言えば、これには二つの意味があるように思います。

 一つは、アルミは酸やアルカリに弱い(腐食しやすい)ので、アルカリ性の洗剤との接触を避けるという意味です。この点からは、激しく汚れた際には短時間で手早く洗って十分にすすげば問題はないと思います。中性洗剤を使えば更に安心です。しかし通常の使用であれば水洗いと乾拭きで十分です。

 もう一つは、コーヒーがアルミの表面に膜を作っているのでこれを残して腐食及び金属臭を防ぐという意味です。日本でも、アルミ鍋の使い始めには米のとぎ汁を沸かして膜を作るという人がいます。目に見えないアルミの表面の凹凸をコーヒーの粒子が埋めている様子を想像すると、コーヒーの酸化が気になりますが、アルミの凹凸がむき出しになって腐食したり抽出時に溶け出したりして金属臭の元になるよりは良いでしょう。

 しばらく使っていなかった場合は、使用再開前に水洗いと乾拭きをするとよいでしょう。もし白サビが吹き出している場合は、目の細かい紙ヤスリで優しくサビを削り取り、水洗いと乾拭きをするとよいでしょう。目の粗い紙ヤスリやスチールたわしやクレンザーを使ってゴシゴシやるとアルミの表面が傷だらけになって、腐食及び金属臭の元となるので注意が必要です。使用再開前に、別途いれたコーヒーを注いで沸かし、コーヒーの膜を張るのも一案です。

 安くて丈夫な直火式器具だからこそ、丁寧に使って長持ちさせたいものですね。


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