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自宅でエスプレッソを楽しむには何が必要かと聞かれることが多い。多くの人の関心はマシン選びに集中しがちだが、他にも必要な事項がある。イタリアではエスプレッソに必要な要素を「4M+1A」(注)と表現することがあるが、少し覚えにくいので、ここでは私なりに解釈しつつ、エスプレッソに必要な「5つの『ま』」として紹介したい。 「マシン」 まず必要なのがエスプレッソマシンである。家庭用のマシンにも様々あるが、高価なマシンが高性能のマシンとは限らないし、高性能のマシンが自分に適したマシンとも限らない。仮に業務用マシンを家庭に持ち込んでも、真価を引き出せない割に維持の手間が大変である。自分のライフスタイルと好みに合った選択をしてほしい。 「豆」 どんなに良いマシンでもエスプレッソの味は豆次第である。自宅でいくら試行錯誤しても美味しくできない、と悩んでいた人が、別の店で買った豆で試してみたら、あっさり美味しくできてしまった、という例も珍しくない。豆の味は店によりブレンドにより特徴があるので、是非、複数の店で買った豆を飲み比べてほしい。 「豆挽き」 同じ豆でも挽き具合が違うとエスプレッソの味が大きく変わってしまう。自分のマシンに最適な挽き具合で挽くためにも、豆の鮮度の観点からも、マシンに劣らず豆挽き機の役割が重要である。中途半端な性能の豆挽き機を購入するよりは、豆を挽き売りする店で挽いてもらう方が良いが、その際にはできるだけ少量ずつ購入し、できれば半分ずつ少し違う挽き具合で挽いてもらって飲み比べてほしい。 「真水」 日本では幸いにして水質が良く、基本的には水道水でも問題ないが、最近は家庭用の浄水器が普及しているので使用をお勧めしたい。また、マシンにコーヒーを詰めずに湯通ししてみて、そのお湯が濁りや臭いで飲めないようなら美味しいエスプレッソは望めない。タンクの中に何日も水を溜まったまま放置したり、フィルターその他の部品の清掃を怠らないよう注意してほしい。 「真心」 多くの人が軽視しがちだが、店員の応対が悪いとせっかくの一杯が不味くなるように、作り手の真心は飲み手の味わいを左右する。また客観的にも、真心をこめてエスプレッソをいれる人は、抽出の技術はもちろん、豆の購入・保管やマシンの手入れなど、他の4つの『ま』についても注意を払っているので、より美味しいエスプレッソをいれることができるものである。忘れないでほしい。 以上がエスプレッソに必要な「5つの『ま』」である。これらは、ある要素が不十分でも他の要素で挽回できる性質のものではなく、不十分な要素があればあるほど美味しいエスプレッソから遠ざかってしまう性質のものである。5つともバランスよく揃えて素敵なエスプレッソとの出逢いを目指してほしい。 (注) 「4M+1A」とは、Miscela(配合)、Macinazione(製粉)、Macchina(機械)、Mano(人)、Aqua(水)。