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エッセイ・エスプレッソ


第13話 アメリカンとアメリカーノ


 アメリカに留学経験もありコーヒー好きのはずの友人が「エスプレッソを飲んだら苦くてまずかった」というので、砂糖を入れたかと聞いたら、コーヒーはいつも眠気覚ましにアメリカンをブラックで飲むという。

 確かに、アメリカのオフィスではやや浅煎りの豆を粗挽きにして淹れる薄いコーヒーをブラックで、大きなマグカップで飲むことが多い。これは日本のオフィスでお茶(緑茶や麦茶)を飲むようなものと思えば分かりやすい。日本でもエスプレッソのチェーン店に行くと、大きなマグカップや、持ち運び可能な水筒型のカップが売られていて、「カップ持参の方は20円引き」などと書いてある。お茶出し当番の職員がオフィスにいたりする日本では馴染みのなかった習慣だが、アメリカでは毎朝自分のカップにコーヒーをたっぷり入れてもらってオフィスに持参している人も多いようである。

 お茶のイメージでコーヒーをがぶ飲みする人にとっては、確かに砂糖を入れていたら体がもたない。深煎りの豆を細挽きにして淹れる濃い少量のエスプレッソは、砂糖を入れてデザート的に味わうのがおいしいと思う。両者は別の飲み物だと考えた方がよいかもしれない。

 さて、ブラック派の友人には、カフェ・アメリカーノ(エスプレッソのお湯割り)を薦めることにした。語学的にはアメリカン・コーヒーを意味するカフェ・アメリカーノだが、浅煎りの豆を粗挽きにして淹れるアメリカン・コーヒーとは違い、カフェ・アメリカーノは成分的には深煎り豆を細挽きにして抽出したエスプレッソと同じである。余り日本で注文する人は多くないようだが、初めてエスプレッソを飲んでカルチャーショックが強かった人や、エスプレッソが好きだが寒い日にしっかり暖まりたいという人にはお勧めである。

 カフェ・アメリカーノはエスプレッソと同様にカフェインが少ないので、がぶ飲みしても身体に負担は少ない。但し、友人の眠気覚ましにはならないかもしれないのだが…。


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